9月1日(日)「山根万理奈ワンマンライブ~初嵐の宴~」@江古田マーキー
江古田駅に降り立つと、そこにはスカートをなびかせる女性の姿が。
肌に感じずとも風が吹いていることを理解させてくれた。
秋の初めに吹く強い風、初嵐を予感させる天候。
嵐というだけあって、灰色の怪しげな雲も見える。
ライブタイトルにぴったりな天候と言えよう。
まーさんも何か新しい風を吹かせてくれるのだろうか。
そんなことを考えながら女性の脚を見ていた。
が、すぐ隣には男性の姿があったとさ。

さて気を取り直して(べっ、別にそんなに落ち込んでないんだからねっ)

セットリスト
1,「スタートライン」
2,「かくれんぼ」
3,「星の見える晴れた夜に」
4,「蒼き日々」
5,「努力の歌プランB」
6,「あたしの気持ち」
7,「やさしい痛み」
8,「蛍」
9,「wonder」
10,「手紙」
11,「P.S.」
12,「へなへなん」
13,「おやすみnight」
14,「君を好きになったんだろう」
en1,「歌ってハッピー」
en2,「あなたに」

1~5まではまーさん一人で弾き語り。
6以降は斉藤哲也さんと一緒に演奏。


1,「スタートライン」
さっそくだが新しい風を吹かすどころか、
"ボクらが風になればいい"ときた。
母性を感じさせる包むような声に
僕は海が凪いでいる様子を思い浮かべていた。
しかし、この曲で「風」はキーワードの一つだ。
サビをきくたびに躍動的な海に変わりゆき
このライブが刺激的なものになることを確信させた。


2,「かくれんぼ」
ファルセットでの悲痛な叫びが心に刺さる。
そう、刺さるという表現がしっくりくる。
あくまで遊びの一つでしかない「かくれんぼ」からは
想像できないような感情の起伏が表現される。
まーさんの心の振れ幅は僕の想像の及ばないところだ。


3,「星の見える晴れた夜に」
星空を見上げながら綺麗な思い出を回想している
まーさんの姿を思い浮かばせる。
誰かに語りかけているようだが、
実はそれは自分に向けられている。
語りかけようとしても返事はないからだ。
答えてくれるのは自分の中にいる「貴方」だけ。


~MC~
ライブ前日、島根から東京に戻る飛行機が飛ばなかった話。
まーさんが乗る予定だった飛行機に雷が落ちた。
延期された出発時刻からもう40分
点検のために必要という旨のアナウンスがあると
隣にいた奥様方が「え、え~」と絵に書いたようなセリフを
言ったので思わず笑いそうになった。
しばらくしてさらに遅延する旨のアナウンスが入ると
後ろのおばあさんが
「この次あたりは欠航するというアナウンスがあるよ」
と縁起でもないことをいうのをきいた。
そして、その予想どおりのアナウンスが入り、
その時近くにいなかったそのおばあさんは
今頃「ほらね」と言っているだろうと想像した。
と予想外の展開に翻弄されながらも
周りの観察を怠らず笑い話に変えてしまうまーさんだった。

島根にいたのは津和野高校での文化祭に招かれたためだ。
津和野高校での文化祭で高校生にエネルギーをもらい
高校時代を思い出して歌いたくなったのが次の曲。

4,「蒼き日々」
久しぶりに生で聴く。
こんなに感情の爆発がある曲だったのかと驚いた。
まーさんが大きな口をあけて声を張る姿に
もうどうすることもできない不条理さ、時の残酷さ
そして幼かった自分への嘆きを感じとった。
力強いストロークから出る和音が身体に響いていた。


5,「努力の歌プランB」
飛行機のトラブルのため東京に戻るのが遅くなり
ライブ前日に斉藤哲也さんとあわせることができなかった。
そのためドキドキしているが、それは斉藤さんも同じで、
できるだけ会場の空気を温めておこうということで皆で歌う。
もう皆で歌おうと言われなくても歌ってしまいそうだ。


斉藤哲也さんの入場。
少し堅めの挨拶がある。(Hさんから堅いと突っ込みが入るw)
トラブルはあったにせよ、今までで一番よいライブとなるように
頑張ると引き締まるお言葉がある。

6,「あたしの気持ち」
「好きで悩んでるわけじゃない」の中でも
一際キーボードの音色の美しさが目立つこの曲からスタート。
音程高めの音の軽く流れるようなメロディーが
恋による心の高鳴りを表現しているかのよう。
今回は最後、伴奏がキーボードだけとなった部分
"この先もずっとあたしの隣にいてくれたら…
それだけでいい それだけでいいのに"
にドキリとさせられた。
この時ギターから放れた手はギターの前で動いており
歌とともに想いを伝えようとしていた。


7,「やさしい痛み」
ギターを下ろしキーボードによる伴奏のみでの歌唱。
「君」の心に呼び掛けるような優しくも力強い声は
「僕」の弱さの裏返しなのかもしれない。
しかし、その弱さを受け入れた上での覚悟がそこにある。

それにしてもステージの照明も
タイミングばっちりの切り替えで
いいムードを作り出していた。

MC;
既に作った曲の中で音源化されていないものがいくつかある。
それらを含めてまたアルバムを制作していきたい。
その中にどんな曲が入るかは未定だし
これから作っていく曲も入ることになる。
まーさん自身も楽しみだし、皆も楽しみにしていてほしい。
ということでまだ音源化されてない曲をいくつか。

8,「蛍」
一つの演劇の中で回想シーンがあり、
その中で役者となったまーさんが
真に迫る演技をしているように見えた。
この曲はギター一本で十分な演奏効果があり
雰囲気が出ると今まで思っていたが、
キーボードが加わると音に厚みがでて
面白いことがわかった。


9,「wonder」
ピュアだけど甘美な官能の色がある。
これは生で聴いてもらわないと説明不可能だと感じた。
(どの曲もそうですがw)

MC;
次の曲は故郷島根に宛てた手紙のような曲であり、
具体的な島根のものの固有名詞を入れたりして
イメージがわくようにした。

10,「手紙」
今回これに一番ぐっときた。
きくのは前回のやまねひとり@lown以来2回目だが
自分の故郷(人、もの、場所、思い出等)が思い出された。
何度も通った通学路に、学校行事、部活の思い出、
故郷にいるお世話になった人の笑顔。
客席が暗いこともあり
思わずcryするところだった。
僕もまだまだ頑張るよ。


11,「P.S.」
これぞ「弾き語り」と思った。
P.S.はそれ自体で一つの物語をなしている。
それが歌い手であるまーさんから語られる。
言葉の嘘も本当も全て引き受けて
自分に根差した言葉として声になる。
これはなかなかできないことだと思う。
ハモりを大事にしたギターとの協奏を崩さずに
物語に背景を描きだしたキーボードもとてもよかった。


MC;日がはやく沈み、遅く日がでるようになった。
夜が長くなって秋めいてきている。
が、まだ残暑が厳しいね。
「そうざんしょ?」
まーさんのギャグだった。
爆笑は起きずに、今のは忘れて!という始末に(笑)
「善処します」とはとても言い返せず
忘れられない夏の思い出となった(?)。


12,「へなへなん」
つい2週間ほど前にへなへなんになったこともあり
うんうん、あるあると納得しながらきいてしまった。
それでも、掛け合いのあ~あ~や
江古田、マーキー、うえの(マーキーのスタッフさん)
キーボード、哲也、万理奈、歌ってハッピー等を元気よく歌った。
会場はまーさんのギャグの効果もあってか
声がよく響いていた。


13,「おやすみnight」
眠れない日はこれを思い出して夜を明かそう…
ではなくてよい子守唄になればいいなということで歌われる。
ライブ中はしっとりとした曲って聴き入ってしまうけど、
帰るとほわっとした余韻が残り、
ライブ参戦に伴う疲労が心地よく眠りに誘うと思う。
(といいながら、眠気と戦ってライブレポを書いている。)


14,「君を好きになったんだろう」
ラストを締めくくるのはこの曲。
キーボードが加わったとはいえ
一番聴こえてくるのはまーさんの語りだった。
まーさんの心の叫びが言葉に力を与えているとも
アレンジがまーさんの声を最大限尊重しているとも言えるだろう。
深めることによって新しさを見出すことができる。
それは歌い手にも聴き手にも言えることだと思う。
今日のライブに参加した方は何かしら
新しいものを得て帰ったのではないだろうか。

アンコールではオールスタンディングで
リズム隊としてまた、コーラス隊として一緒に演奏した。
en1,「歌ってハッピー」
en2,「あなたに」
今回のライブは今まで一番多くみんなで歌ったライブだったのではないだろうか。
(努力の歌プランB、へなへなん、歌ってハッピー、あなたにの4曲)
とても楽しく、新しい発見のある面白いライブだった。


残暑が続く間はまーさんファン同士では
「そうざんしょ」が多用されるものと予想される。
そして、九月の月間流行語大賞は「そうざんしょ」になると思われる。
そうざんしょ?