2015年5月2日(土)「元祖,やまねひとり」@下北沢lown
セットリスト
- 花ざかり
- 砂漠のマーメイド
- かくれんぼ
- おやすみnight
- 君を好きになったんだろう
- Hahaha!Happy birthday!
- 誰よりも
- 空な色
- あなたが好きで
- 時のまにまに
- 街角
- fish
- step by step
- ジャンヌダルク
- 歌ってhappy!(En.)
冬は過ぎ,夏と思えるような暖かさで半袖シャツの方もいるなか まずは花ざかり. 今回は手拍子がいつもと比べてゆっくり目だった(一小節あたり2回だったのが1回になった感じ)ので なんだか少しやりにくかったが,空気が温まった. ランランのコーラスが暗いとまーさんからの突っ込みもあったが笑
砂漠のマーメイドを聴いたのは初めて. 失恋かなんらかの理由で好きな人と一緒にいられなくなったことをまーさんらしく捉えた曲だと感じた. 心にすっぽりと穴があいている状態を干物女と形容しているのだと思う. 普通,砂漠にマーメイドはいない.いるべきところにいない. 自分は場違いなところにいる,そんな心情を表現しているのだと思った. これはニューアルバム収録曲.どんな感じに仕上がっているのか楽しみだ.
まだ音源化されていない曲を聴けるのは,ちょっと嬉しい. リリース前のライブは,会場にいる人だけがリリースに先立って楽しめる曲があるというお得感がある気がする. そういうわけで僕はリリース前のこの時期にあるライブが好きだ. ただ,だからといって既に音源化されている曲が退屈だというわけではない. 今回は個人的に「おやすみnight」っていい曲だなあと改めて感じた. 歌詞,曲調,まーさんの歌い方とがうまく組み合わさっていて, 音量は小さくとも音楽に満たされている感覚になる. 何度も聴いたことがあってもこうやってライブで聴くことで その曲の良さを新しく発見できるのもライブの楽しみの一つだ.
最近は暑くなってきていて,夏バテ気味かもとMCでまーさんは言っていた. フェスへの出演や長距離の移動で疲れがたまっているのかもしれない. そのせいかどうかはわからないが,君を好きになったんだろうは 少し力が入っているように感じた. 歌った後の話声も少し変だったので,心配になった. そうはいっても演奏時は本気の伝わってくる演奏であった.
続くHahaha!Happy birthday!では誕生日が5月の方をお祝いした. 珍しいことに会場にいる五月生まれの方は1人だけだったので,曲中でしっかり名前を呼んでお祝いした. まさに「今日の主役はあなただけ~」だった.
Hahaha!からの母へと贈る歌「誰よりも」. 演奏中,涙のためか鼻をすするBGMも聞こえてきた. やはりこの歌は心を動かす力があると改めて思った. そういう自分も鳥肌が立つことが何度もあった. これは,ニューアルバムにも収録される曲であり, どんなアレンジなのか,個人的に気になっている一曲だ. 弾き語りスタイルのギター一本というのが今のところしっくりくると思っているが 聴いたことがあるのが弾き語りだけだからかもしれない. 今年の母の日には間に合わないが,この先, 多くの人にとって「誰よりも」が母の日に聴きたい,聴かせたい歌になっているといいなあと思う.
僕がまーさんライブで歌を聴くとき聴き方(感じ方)は,(あえて分けるとすると)大きく分けて三つある.
純粋に音や音のやり取り, まーさんの表現の技巧を楽しむ
まーさんの曲の物語に入り込んでその主人公となって音楽に浸る
まーさんの曲を聴きながら自分のことを振り返りいろいろなことに思いをめぐらす
3つ目のパターンの場合, 曲の内容とは直接は関係ないものが想起され,そのことに向きあうことも多い. 聴く曲によって聴き方は異なるし,同じ曲であってもそのときどきの自分の状態によって聴き方は異なる. もっと言えば同じ曲中で聴き方が変わることもある. 会場の雰囲気にも影響されるだろうし,その曲にいたるまでのセットリストにもよるだろう.様々な要因によってそのときの聴き方が決まる.(正確にはその聴き方の割合が決まると言ったほうがいいかもしれない.)
「空な色」は,抽象的な言葉が比較的多く,歌詞の解釈は 聴き手に委ねられている部分が大きい. そのため,上の3つ中では3番目の聴き方をすることが多い (または,2番目と3番目の中間的な聴き方として,まーさんのこれまでのシンガーソングライターとしての歩みを振り返ったりすることもある). 3番目の聴き方が多くなる曲というのは, 噛めば噛むほど味がするような曲だと思う. 歌い手にとってもそうではないかと想像する. しっかり生きて,納得のいく歳のとり方をして, もっと「空な色」を味わいたい. 僕が言うのもおこがましい気がするが, まーさんもこれからも新しい一歩を踏み出し続け, 「空な色」を歌い続けてほしいと思う.
続く「あなたが好きで」はしっとり歌い上げる. 静かなメロディーに癒されつつ,その物語の中に入っていく. それははっきり言って都合のよい物語だ. 恋焦がれる相手と一緒に雨宿りするなんてことはまずないと言ってよい. それでも,そんなことあるわけないと突っぱねるのではなく, 物語の行く末が気になってしまう.
世の中には二種類の「都合の良い話」があると思う。一方は無理のある筋書きを押し通したために出来る話。もう一方は「こんな事は起こりえないしこんな人間はいない、でも俺はこんな事が起きてほしいしこんな人間にいてほしかったんだ」という作者の開き直りに基いて出来る話。個人的に後者は大歓迎だ。
— 三秋 縋 (@everb1ue) 2015, 4月 25
作家の三秋縋さんがツイッターでこんなこと言っていたけど, おそらく後者の物語なのだろう. (三秋さんの小説,おすすめです.)
続く「時のまにまに」,「街角」はニューアルバムからの選曲. 時のまにまには妄想曲なのではなかろうか, 妄想曲という言い方はないかもしれないが. 街角は感想を書くのが難しいなあという感想. 早くアルバムを手にして聴き込みたい一曲だ.
fishの後はみんなで歌おうの時間. step by stepとジャンヌダルクをlownに響かせる. ジャンヌダルクではコーラスではまたしても暗いと突っ込みが入ったが, 音程低いところだから勘弁して~と思いながらも みんな少しずつ頑張っていい感じのコーラスになる. まーさん「言ってみるもんだね~」とニヤニヤ.
アンコールの歌ってhappy!も 綺麗なコーラスで気持ちのよい空間だった.
今回のライブでは,肉フェスでまーさんを知ったという方や 家族連れの方といったライブ参戦は(おそらく)初めてのお客さんもいらしていた. 次回のlownライブ(6/13)からはいよいよニューアルバムリリース記念ツアーが始まる. リリースをきっかけにまた新しい出会い,それから沢山の笑顔,安らぎ,勇気が生まれるといいなあと思う.
そういえば,ツアーに合わせて新しいグッズが物販に出るとのこと. こちらも楽しみにしていよう!